「扶養の範囲」をおさらい
2023.03.03夫婦共働きで、「収入がパートナーの扶養内におさまる範囲で働いている」という方は少なくありません。一定以上に収入が多くなると、税金や社会保険料の支払いが増え、世帯としての手取りが減ってしまうこともあるからです。
扶養の範囲は、いくつかの段階があります。
パートタイムの派遣スタッフとして働くA子さんと、フルタイム社員のB夫さんを例にとって、「壁」となっている金額についておさらいしてみましょう。
★103万円の壁
103万円の壁は所得税の壁です。
A子さんが年収103万円以上になると、住民税に加えて所得税の支払い義務も発生します。
給与のうち、所得税の計算の基準となる金額(課税所得)は、次のように計算されます。
【給与-(給与所得控除:最低55万円+基礎控除:48万円)=課税所得】
つまり、どんな人でも給与から103万円(55万円+48万円)を差し引くことができ、その結果、年収103万円以内なら所得税はかかりません。
★106万円の壁
106万円は社会保険(健康保険 ・厚生年金保険)の壁です。
A子さんの年収が106万円未満であれば、B夫さんの社会保険の扶養に入ることで保険料を負担せずとも国民年金保険および健康保険に加入できます。
A子さんが年収106万円以上になると、B夫さんの社会保険の扶養から外れ、自分の勤務先の厚生年金保険、健康保険に加入し、新たに保険料負担が発生します。
2022年10月より、法律改正に伴い パートタイムやアルバイトなどの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金の適用範囲が拡大されました。
具体的には、下記のすべてを満たす場合に社会保険に加入することになります。
(1)勤務先の従業員数が101人以上であること
(2)週の所定労働時間が20時間以上であること
(3)雇用期間が2か月以上 以上見込まれること
(4)賃金の月額が88,000円以上(年収約106万円以上)であること
(5)学生でないこと
★130万円の壁
130万円も社会保険の壁です。
2016年9月までは、「年収130万円未満」という条件さえ満たせば、A子さんはB夫さんの扶養に入ることができました。 逆に言えば、収入が130万円を超えると扶養から外れ、自分の勤務先で社会保険に加入するか、それができない場合は、自ら国民年金と国民健康保険に加入しなければならないことになっていました。
今でも「130万円の壁」はそのままですが、2016年10月に上記の「106万円の壁」が新たに設置され、2022年10月に適用範囲が拡大された経緯があります。
★まとめ
ちょっぴり複雑だったかもしれませんが、いかがでしたでしょうか。
2022年10月から「106万円の壁」の適用が拡大されたことで、社会保険の加入対象者が増えています。手取りの減少を防ぎたい場合は、収入などの条件が「壁」を超えないよう、調整する必要があります。
とはいえ、フルタイムでより責任ある仕事にチャレンジするのもまたひとつの考え方ですし、社会保険に加入すると将来受け取る年金が充実するなどのメリットもあります。
家族にとってのメリット・デメリットをよく検討して、対応を考えましょう。
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